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不来方句会発足百回記念の集合句会が、令和七年九月二十八・二十九日、岩手県盛岡市のエスポワールいわてに於いて開催されました。
不来方句会は主宰の出身地である岩手の会員と、岩手に関連のある会員との交流を深めるために発足しました。平成20年創立。遠方と言うこともあって隔月の、しかも通信での句会となりました。
その不来方句会が、指折り数えて１００回を迎えることとなりました。要した年数は、十七年。メンバーは変わってしまいましたが、今回はその１００回を記念しての集合句会となりました。
【主宰選】
天 ふるき良きみちのくにゐて秋惜しむ 渡辺 時子
地 みちのくの旅のはじめの走り蕎麦 大関 洋
人 街に川流して南部富士の秋 髙山 宏和
鶴亀の池に亀とや秋うらら 田辺 厚正
仰ぐとは上を向くこと月出づる 山本 一葉
人肌の燗のよろしき菊膾 大関 洋
水音のさみしくなりぬ崩れ簗 大関 洋
色変へぬ松や啄木生誕地 木関 偕楽
見晴るかす小岩井の野辺豊の秋 鈴木元一郎
城跡に石垣松は色変へず 大関 洋
郷愁の扉をたたき鉦叩 髙山 宏和
虹消ゆるやうに秋思の消えゆくよ 山本 一葉
遡上の鮭見えず仕舞ひや川澄めり 髙島かづえ
生家まで川筋ひとつ秋茜 鈴木元一郎
みちのくの空が大好き蜻蛉とぶ 髙山 宏和
【梅津大八同人会長 特選】
農小屋で糸瓜の皮むく子規忌かな 三浦千代子
アテルイの役はいけ面男郎花 四日市洋子
名月や夫の寝息の深きこと 山本みよ子
【不来方賞（最高得点）】
杉の木を残して霧の走りけり 山本 一歩
【互選】
稲架掛けの休憩多し米寿喜寿 梅津 大八
踏み入れば山は粧ひ始めけり 佐々木 充
変わりなくそれが嬉しい良夜かな 澤田 晶子
踊り子のまつげのごとく曼珠沙華 福田 栄紀
ゆつくりと気球下りたる大花野 星野 輝子
夜は座敷童も入れて秋障子 堀江野茉莉
こほろぎの鳴くと休むを数へをり 三浦千代子
早池峰の石山白き秋の風 横山 由美
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