谺ライブラリー


谺の句集


@句集『一葉』  山本一歩 (63年12月牧羊社刊)  1,000円+税

<谺叢書>

A句集『耳ふたつ』  山本一歩 (10年11月谺発行所刊)  1,500円+税

B句集『晩夏の砂』 木村とき江(13年3月谺発行所刊) 2.000円+税

C句集『円相』  妹尾圭子 (15年4月東京四季出版刊)  2,476円+税

D句集『白梅』  田村ふみこ(15年10月東京四季出版刊)  2,476円+税

E句集『蝉時雨』  吉田善一 (16年1月谺発行所刊)  1,429円+税

F句集『古墳群』  蓮見澄男 (17年9月文學の森刊)  2,667円+税

G句集『一楽』  山本一歩 (18年4月文學の森刊)  2,667円+税

H句集『鯊日和』  有馬五浪 (20年5月文學の森刊)  2,571円+税

I句集『神楽面』  山本一歩 (23年1月文學の森刊)  2,667円+税

J句集『初鏡』  渡辺時子 (24年4月文學の森刊)  2,667円+税

K句集『自然』  高尾峯人 (24年8月谺発行所刊)  2,000円+税

L句集『佐保姫』 秋山幸子(26年3月文學の森刊) 2,667円+税

M句集『青嶺』 金子富子 (28年5月文學の森刊) 2571円+税

N句集『谺』 山本一歩 (29年10月本阿弥書店刊) 2,800円+税

O句集『富士見ゆる』 梅津大八(30年7月文學の森刊) 2476円+税


【令和】
P句集『蒼朮を焚く』 我妻幸男(4年1月私家版)

Q句集『梅ひらく』 梅津大八(4年5月文學の森刊) 2970円

R句集『春の山』 山本一歩(4年8月本阿弥書店刊) 3080円

S句集『畏愛』  高尾峯人(4年11月文學の森刊) 2970円

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『畏愛』……高尾峯人


発 行   令和4年11月1日
発行所  文學の森
定価    2970円


薔薇剪つてそれからピアノ鳴らぬなり
蘆の角朽葉を刺したまま伸びし
一滴の如く一輪枝垂梅
蝉となり空蝉となるうすあかり
茸汁誰かが笑ひ始めたる
温め酒波郷はいつも若かりし
朝顔のつぼみのやうに日傘巻く
早梅は水かげろふの立つところ
期待などしてはをらねど鳥威
鶸来てせきれいの来て年つまる


『梅ひらく』……梅津大八


           発行日  令和4年5月
           発行所  文學の森
           定価   2970円


白富士の白をそのまま春立ちぬ
水の行く方に水音梅ふふむ
平均の高さ求めよチューリップ
労働者諸君の工場暮れかぬる
泡盛の舌のしびれやコザ騒動
平穏に生きてをり弱冷房車
晩酌に付き合へと言ふ生身魂
水仙は伐るなよ庭が寂しいよ
天狼と眼の合うてゐる寒さかな
雪原に黒々どんと焼の跡

『古墳群』……蓮見澄男


発 行  平成17年9月2日
発行所  文学の森
定 価  2,800円(税込)

秋蝶のとまりし花を買ひにけり
禅寺に河童の玉子秋うらら
年寄と幼と風船かづらかな
餌台に大鳥小鳥日脚伸ぶ
鬼灯を提げて神事の端に佇つ
行者にも似て炎天の亀ひとつ
日が落ちて何処か鴨鳴く古墳群
行商の寺に荷を解く若葉風
朝涼や道頓堀を亀泳ぐ
屋根きそふ家の七八つ山眠る

『蝉時雨』……吉田善一


発 行  平成16年1月1日
発行所  谺発行所
定 価  1500円(税込)

妻が来て五人となりぬ置炬燵
代替りしてゐし国の種物屋
雷のまだ上にゐる祠かな
たつぷりとある短日のいとまかな
文机に置くどんぐりとその影と
やんはりと意地をとほして年の暮
むざうさにして雑炊を等分に
前足を放りあげなどして仔馬
踊見の後ろに立てる消防士
燕の巣監視カメラの上にかな

『白梅』……田村ふみこ


発 行  平成15年10月30日
発行所  東京四季出版
定 価  2600円

二学期へ子は花火殻踏んでゆく
焚火跡に焚火育てて山始
会へば泣く母の泣き初め見にゆかな
春昼の仁王の力くらべかな
籾を干す日和祭りの日和かな
両頬と両手寒さをくらべ合ふ
向日葵の気になつてゐる立話
紅天牛飛び立一部始終かな
赤い旗白い旗鳥威しなる
数へ日や褒めて子供を使ひゐる

『円相』……妹尾圭子

     発 行  平成15年4月15日
     発行所  東京四季出版
     定 価  2600円

寒怒涛旅の枕をうらがへし
みんなゐて覚めればひとり冬の雨
はじかみのくれなゐぴりり今日も晴
数珠袋たび袋縫ふ藍づくし
雨の日や蕗を煮詰めて豆を煮て
国引の山より夏に入りにけり
アトリエのメロンそろそろ食べごろに
十薬の可愛がらるるほどの数
海が好き殊に五月の海が好き
船べりに杖やすませて沖膾

『春暁』……坂本キミ子

発行日  平成6年3月
発行所  私家版

斑鳩のバス停小さし姫女苑
ばりばりとレタス食みをり終戦日
傘の色かへてたのしき春の雨
暮色濃し湖の向うの蜜柑山
難しきことは忘れて蕪蒸
湖の香のこもりし稲を刈りすすむ
冬菫日向に雀睦みあふ
花合歓やゆつくりのぼる渓の霧
湖くらき堅田を訪ひぬ吹雪く中
紅木瓜や庭の枝折戸開けしまま

『新樹光』……妹尾圭子

発行日  平成元年1月  
発行所  東京四季出版
定 価  1900円(税込)

薔薇を描く夫と薔薇詠む吾とあり
うららかや真白き法衣縫ひ終る
新樹光今日締む夫のネクタイ選る
箸袋作る紅葉の客ある日
仏生会終りし釈迦を井に洗ふ
栗むいていくつむいてもひとりの夜
逢へばすぐおしやれの話花石榴
子を欲しと思ふや蛍光る夜
夫にだけ通るわがまま猫じゃらし
訪ふだけでよろこぶ父母や瓜の花




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